姿勢と咬み合わせ

  • 2018.12.10 Monday
  • 12:37
顎の位置が姿勢に影響するというのは、あまり広く知られていないと思いますが、確かに起こることです。

下顎の位置が変わると、姿勢にどのような影響が出るのか実験した論文があります。

実験的下顎偏位が静的直立姿勢に及ぼす影響(Influence of Experimentally Deviated Mandibular Position on Static Standing Posture)(英語)(原著論文)
Author:Yamazaki Go(Department of Sports Dentistry, Tokyo Dental College), Takeda Tomotaka, Nakajima Kazunori, Konno Michiyo, Ozawa Takamitsu, Ishigami Keiichi
Source: International Journal of Sports Dentistry (1883-2865)7巻1号 Page085-093(2014.11)

この実験では、下顎を左にずらすような装置を作っておき、下顎を普通にしている時と比べて、姿勢がどのように変わるのか調べました。
この論文では、10人の男性に平均で、3.8mm顎を左にずらす装置を作って、姿勢を計測したところ、顎を普通にしている時と比較して、平均で頭が3.6mm 、体幹が2.0mm、骨盤が1.6mm、右脚は0.6mm、それぞれ左にずれていました。

下顎は頭蓋にぶら下がっていて、バランサーの役割をしていると言われていますが、そのバランサーが位置を変えると、重たい頭をてっぺんに載せている人間は、バランスを崩して、倒れていかないように自然と体を傾けることになるのですね。

このような姿勢のゆがみが長いこと続くと、頭を支えている首、肩の筋肉が片方だけこったり、片方の腰や膝が痛くなったりしても、おかしくないですよね。あるいは、姿勢や、顔の左右差などの見た目が大きくゆがむ結果になるかもしれませんね。

今日ご紹介するのは、60代の女性の方です。
長いこと横向き寝をされていたのも影響して、上の歯が内側に倒れ込んできて、かなり、上顎が狭くなってしまっていらっしゃいました。その結果、下顎が後退位を取らざるを得なくなっておられ、よく当たる奥歯の歯周病が重度に進行して、歯がぐらぐらしてしっかり咬めないような状況になってしまっていらっしゃいました。

顎の痛みは全然感じていらっしゃいませんでしたし、首や肩、腰のコリなどもそれほど感じてはいらっしゃいませんでしたが、歯周病が進行してしまっていることに、咬み合わせのずれが影響している可能性が高いことをお話し、最適な顎の位置を調べて、その位置で被せ物をして、ぐらぐらしている歯を前後でつなげるご提案をさせていただきました。

治療に同意していただいて、通常のニューロマスキュラーのやり方にのっとって、最適な顎の位置を調べて、仮歯の材料で前後の歯をつなげさせていただきました。

治療前にお撮りさせていただいた姿勢の写真です。
posture1

仮歯の状態で、最適な顎位になっているか、再検査をした時の姿勢の写真です。
posture2

側方から見た時の猫背、すっごく変わりましたね!!
この写真を見て、「え?どうしてこんなに変わったの?!」とご本人が一番驚いていらっしゃいました。
「咬み合わせでこんなに変わるなんて!」とにわかには信じられないご様子でした。

私もこの咬み合わせ治療をさせていただくようになって10年以上経ちますが、患者さんのびっくりするような変化を見ては、ご本人やスタッフと一緒に驚きと喜びを分かち合うような日々です。

運動と脳

  • 2018.07.20 Friday
  • 16:02
毎日暑いですね。昨日は月一恒例の東京歯科大学への出張の日でした。

同じ教室に群馬からお越しになっている先生がいらっしゃるのですが、群馬と岐阜が最高気温の1位争いをしているという話をしていました。群馬は観測地点を少し涼しい所に移したので、実は群馬のほうが暑いかもしれないとおっしゃっていました。そんなんで1位をとっても名誉にはならないけれど、スポーツマンとしては、1位が好きなんて言って笑っていました。

私は通年快適な環境で仕事をさせてもらっているので、本当にありがたいことです。

話は変わって、実は、先月からジムに通い始めました。今入会するとお得だとか、運動不足も気になっていたとか、色々きっかけはあったのですが、実際に運動して、その後の爽快感が病みつきになりました。

人間の身体に大事なのは、栄養、睡眠(休養)、運動の3本柱だと昔から言われていますが、まさにその通りだなと感じています。

今日はタイトル通り、運動と脳についてDr.Wendy Suzukiというニューヨーク大学の神経学の教授がスピーチしていらっしゃるものを紹介したいと思います。私がジム通いをしたいと思ったきっかけの一つがこの動画です。この先生はずっと研究室にこもっていたのを、ジムに通うようになって、体重も10キロほど落とせ、より集中力や記憶力が上がったのを感じたところから、運動と脳の研究に興味を持つようになったそうです。

この動画はTED(Technology, Entertainment and Design )という様々なトピックについて、それぞれの専門分野の方々が18分未満の短いスピーチをしている動画が見れるサイトからのものです。内容はこちら

名前からして日系の方だと思いますが、はっきりとした英語で話していらっしゃるので、理解しやすいと思います。


脳を変化させる効果がある運動

気分や集中力、記憶力に関係する脳に最も良い効果をもたらすものは運動です。少しの運動をするだけでも、気分を向上させ、集中力や俊敏性を高める、神経伝達物質のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを瞬時に上げることができ、その効果は少なくとも2時間続きます。

運動を長い期間にわたって続けることは、物事の選択や集中力、人格に関与する前頭葉、記憶をつかさどる海馬に新しい脳細胞を作ることになります。運動を続けると、筋肉を大きく強く鍛えられるのと同じように、脳をより大きく、強くすることができます。
前頭葉と海馬は、神経変性の疾患や、老化による認知の衰えに関与しています。運動が認知症や、アルツハイマー病を治すわけではないですが、生涯にわたって運動することによって前頭葉と海馬を大きく強くして、病気の発症を遅らせることができます。

では、脳を守るために最低限どれだけの運動をするべきでしょうか?週に3〜4回、30分以上、心拍数を上げる有酸素運動を取り入れた運動が望ましいです。別にジムに行く必要はありません。家の周りを早歩きするだけでもいいのです。


要するに、「ボケたくなかったら、歩け!」というところでしょうか。
心拍数を上げて、幸福度も上げていきましょ〜!!

週刊ポスト2018年6月8日号

  • 2018.06.04 Monday
  • 15:22
「週刊ポスト」という雑誌に歯科の記事が掲載されていたので、目を通してみました。

実際、当院に通院されている患者様からも、この記事を読んだとおっしゃる方がいらっしゃいました。

表紙

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解像度が良くなくて、細かい文字まで読むのは、難しいかと思います。ごめんなさい。

「歯医者は患者に隠している」と書かれてあるので、何も隠しているつもりはないから、いったい何が書かれているのか興味津々で読みましたが、全くもって一般的なことで、驚くようなことはさほどなく、という感じでした。
患者さんにとっては驚きなのかな〜?ま、読者の興味を引くような表現方法なんでしょうね。

例えば、アマルガムのような水銀。口の中に体に毒になるようなものを詰めて治療していたというのは、確かにショッキングなことかもしれませんが、結構広く知られていることなのではないかなと思います。
当院にお越しになっていて、アマルガムが入っている患者さんに、そのお話をすると、たいていの方は、聞いたことがあるという反応をされます。

記事にはこう書かれていました。

原因とされていた掌蹠膿疱症などの皮膚疾患が、水銀、銀、銅、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケルなど、歯科治療で使用されている金属のアレルギーによるものがあると明らかにした。

ただ、一つだけ気になった表現がありました。「虫歯のところだけ削るなら痛くない」というものです。これは論理的にはそうで、私も学生の時にそう聞きましたが、削る量を必要最小限に抑える、コンポジット・レジン(プラスチック)を詰める治療でも、削るのが痛いことは大いにあり得ます。虫歯が大きい(神経に近い)なら、冷たいものがしみたり、風をかけてもしみるのは当然あり得ることで、その場合、水もかけつつ、バキュームで風も発生させて虫歯を削るのは、必要以上に削っていなくても、当然痛いです。この記事をまとめる時に、コメントをされた先生の一部分だけを取り上げてあるんでしょうから、誤解を招かないといいけどなーとは思いました。

前回の私のブログに、マイクロスコープのことを書きましたが、この記事ではより掘り下げて書いてくれているので、嬉しく思いました。

記事ではこんな紹介でした。

・「根管治療」を進化させたマイクロスコープ
 根管の直径は0.3青度。肉眼では、その内部までは見えないため“手探りの治療”と言われていた。
 東京歯科大元教授の中川寛一氏は。根管治療にマイクロスコープを導入、治療成績を大きく上げたという。
 「マイクロスコープで可視化されると、根管が捻じれていたり、根管が2つだと思っていたら3つ、あるいは4つに分かれていたりと、これまで見えなかったところがわかるようになりました。確実な処置が可能になったのです。根管治療を40年やっているけど、昔と比べると雲泥の差だね」
 注意したいのは、マイクロスコープを使っている歯科医は全体の1割程度であること。そして、マイクロスコープを所有していれば、誰でも精度の高い根管治療ができるわけではないことだ。
 「マイクロはあくまで道具、歯科医のスキルが重要です。
  患者さんの中には、マイクロで治療を受けたけど治らないという人が来ます。聞くと、治療時間が10分とか20分とかでした。それは適当にかき混ぜただけ。マイクロ使って、外科処置をやると、1歯につき約1時間は絶対にかかります。
 歯科医師って、すごく立派な先生もいるけど、根管治療に関してはとんでもない人間もいるから悲しくなります」


そうなんです、マイクロスコープの治療って時間かかるんです。私は必ず1時間以上の予約をお取りさせていただいています。

この部分も患者さんにぜひ知っていただきたい点でした。

・重篤疾患の要因になっている歯周病
 脳梗塞、心筋梗塞、細菌性心内膜炎、腎炎、誤嚥性肺炎、パージャ病、動脈硬化症、アルツハイマー病、糖尿病・・・。
 これらに「歯周病」が関係していると言われても、本気で信じる人は少ない。筆者もそうだったが、国立循環器病研究センターが、心臓疾患の患者に次のような警鐘を鳴らしていることを知って考えが変わった。
「歯周病にかかっている人はそうでない人に比べ1.5〜2.8倍も循環器病を発症しやすいことがわかっています。さらに循環器病の原因となるアテローム性動脈硬化症の程度が、歯周病と関連することがわかってきました」
 アテロームとは、コレステロールなどが動脈の内膜に沈着して起きる動脈硬化を指す。東京歯科大学名誉教授・奥田克爾氏は、心臓外科医・南濃明宏氏との共同研究で、心臓の冠状動脈の血管内壁に付着したプラークから、歯周病原菌を検出した。歯周病原菌は、口腔内の血管から入り込み、全身を駆け巡っていたのだ。
「頸動脈の内側に付着したプラークが大きくなって脱落し、それが脳血管を詰まらせると、脳梗塞になると考えられます。歯周病を予防することは、命を守ることになる、というのは決して大げさではありません」


歯の表面には、多くの歯周病菌がくっついて、バイオフィルム(ぬめりのようなもの)を形成しています。それがあることで、細菌は歯の表面から、はがされにくく、新たな細菌がくっつきやすく、細菌が繁殖しやすい状態になっています。
これは、通常の歯ブラシでは取れず、歯科医院で機械を使って磨くことで取れます。
自分ではなんともなくても、定期的に、歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることのは、将来の自分の身を守るためにも、大きな意味のある事です。
私も、定期的に当院のスタッフにPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング、プロによる機械的歯面清掃)をしてもらっています。

最後に、インプラントに関して、このことも患者さんによく知っておいていただきたいと思いました。
・「手術後のメンテナンスが最重要」
“インプラント治療は、手術が終わってから始まる”といっても過言ではない。
 専門的なメンテナンスを受けないないとしたら、インプラントを失う可能性がある。すぐに専門施設に相談すべきだろう。


 

酸触症

  • 2018.01.13 Saturday
  • 11:07
今日は、自分の歯を守るため、全ての方に知っておいていただきたい情報を書きたいと思います。
酸触症についてです。

酸触症(さんしょくしょう)って聞きなれない言葉だと思います。
でも、すべての年代の4人に1人に酸触症が見られるという報告もあり、軽く見れなれないものです。

酸触症とは、簡単に言えば、酸で歯が溶けてしまっていることです。

歯の表面が白濁してしまっているだけの軽症なものから、歯の表層のエナメル質がすっかり溶けて、象牙質が見えてしまっていたり、歯の半分ほどがなくなってしまっているような重症なものまであります。

原因となる酸には、内因性のものと、外因性のものがあります。

内因性のものとは、胃液です。
胃食道逆流症や、摂食障害などで、嘔吐を繰り返していると、強酸の胃液に歯がさらされて、溶けてしまいます。

外因性のものとは、ずばり飲食物です。(かつては、メッキ工場などの酸性ガスの吸引なども問題になっていましたが)

2018年1月号のクインテッセンスからの拝借ですが、下記の表をご覧いただくと、市販されている飲物がどれほど酸性度が高いのかお分かりいただけます。

飲物pH
歯のエナメル質はpH5.5を下回ると、溶けだしてしまいます。
非常に多くの飲物が、pH5.5以下なのを知って驚かれるのではないでしょうか?

次の表は、先程の表に、果物や野菜などを私が付け足したものです。

果物

酸性の飲食物から歯を守ってくれるのは、唾液です。
口の中に入れた酸性のものを唾液で、洗い流し、唾液中の緩衝能のある成分が、口の中を中性に戻してくれます。

でも、例えば、運動しながら、スポーツ飲料をちょこちょこ飲んでいたり、しょっちゅう口に食べ物を含んだりしていると、中性に戻る間がなくなってしまい、歯が溶ける環境を作ってしまいます。
また、柑橘類やリンゴなどの酸性度の高いフルーツを前歯でちょびちょびかじるのも、歯にはダメージです。

胃液が原因で歯が溶けている場合は、歯の裏側と咬む面が溶けています。
飲物が原因の場合は、歯の表側など、唾液が流れにくい部分が溶けています。

対策としては、
スポーツ飲料や、酢を飲む習慣があるなら、ストローを使って、歯に飲物が触れないように工夫するのがいいでしょう。
ワインやビールなどを飲むなら、おつまみも一緒に食べて、唾液が出るようにしましょう。


ちなみに、「酸性度の高い物を食べて、すぐ磨く」は不正解のようです。
酸性の環境にさらされて、柔らかくなっているところをブラシでこすると、歯が傷ついてしまいます。

水でブクブクうがいくらいにしておいて、30分以上経ってから磨く方が良さそうです。

歯周病に勝つ

  • 2017.09.16 Saturday
  • 15:26
歯周病は簡単に言ってしまえば、

細菌の毒素と、歯を揺さぶる力(咬むこと、歯ぎしりすること)VS 歯肉と骨の抵抗力

だと思います。
歯医者では、細菌の毒素を減らすお手伝い(クリーニング)や、歯を補強したり、まっすぐに並べることなどで、揺さぶる力に対抗するようにアシストをさせていただきます。

もちろん、毎日のケアや、食いしばらないように気を付けるなど、ご本人の自己管理もとても重要です。

そして、歯肉と骨の抵抗力の増強はご本人にしかできないことです。


歯肉と骨って何からできてるでしょうか?


歯肉の約半分はコラーゲンです。儀織灰蕁璽殴鵑80%ほどを占めます。
骨の体積の43%は有機成分で、そのうちの約90%はやはり儀織灰蕁璽殴鵑任后

この儀織灰蕁璽殴鵑鮑遒辰討い襯▲潺了世裡格の1はグリシン、プロリンが25%、グルタミン酸10%・・・と続きます。

コラーゲンができるまでには、様々な過程があります。
1、まず、コラーゲン合成細胞の中で、決められた順にアミノ酸が並べられていきます。当然、材料となるアミノ酸が必要です。 
  この時、一つでも足りないアミノ酸があれば、コラーゲン作りはそこでストップしてしまいます。
2、並べられたアミノ酸中の、プロリンやリシンは水酸化されます。この時に、鉄分、ビタミンCが必要です。
3、さらに、水酸化されたリシンに糖がくっつきます。ここで活躍する酵素にはマンガンが必要です。
4、アミノ酸の鎖3本がらせん構造を作り、細胞外に出されて、、、と続きます。

コラーゲンができるためには、色々な種類のアミノ酸、鉄分、ビタミンC、マンガンなどが必要なんですね。

アミノ酸について
20種類あります。体内で合成できないので、食物から摂取しないといけない9種類の「必須アミノ酸」と、体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」があります。

非必須アミノ酸は、ほかのアミノ酸や脂肪、糖などを使って体内で合成されますが、合成できる量は年齢とともに減少しますし、やはり外部からの摂取が必要です。


アミノ酸(たんぱく質)不足で引き起こされるのは、

骨、歯、筋肉が弱く、もろくなる
細菌・ウイルスに感染しやすくなる
皮膚の美しさ、髪のしなやかさがなくなる
内臓が衰え、弱くなる
血管がもろくなる(高血圧、脳卒中につながるおそれ)
貧血になる
代謝が悪くなる
身体の調節がきかなくなる

などです。

そんなに歯磨きが下手でないのに、歯周病が進んでいる方の中には、年齢の割に老けてるかな?とか、筋肉量少なそうだなーと思う方もいらっしゃいます。そんな方に食生活をお聞きすると、たいてい野菜中心。

「たんぱく質、特に、赤身肉もしっかり食べてください。」と私が言うと、意外な顔をされることが多いです。
肉は悪で、ヘルシーじゃない食べ物だと思われがちでしょうか?

ヘルシーってカロリーが低くて、栄養素もスカスカなもの、じゃないですよね。


たんぱく質を自分の骨と肉にするには、取るたんぱく質の量も質も大切です。

まず、どのくらいの量をとるのが理想的かというと、成人で1日当たり体重1kgにつき0.75〜1.5g程度と言われています。
50Kgの人なら、だいたい50gくらいですね。

50gのたんぱく質を取るには何をどのくらい食べる必要があるのでしょうか?

マグロの刺身なら200g(厚めの刺身12切れくらい)
豚肉なら200g
全卵なら24個
納豆なら7と半パック
木綿豆腐なら2と半丁
パルメザンチーズなら115g

魚と肉はまだいいとして、他はあり得ない量ですよね〜

質という観点では、それぞれのアミノ酸組成は全部違うので、同じものを取り続けると、不足するアミノ酸が出てきてしまいますし、腸が消化吸収しきれなくて、その食べ物を敵だと思って、遅延型アレルギーを作ってしまうこともあります。

同じ量のたんぱく質を食べても、種類や調理の仕方で身体に吸収される量は違うようです。
また、消化吸収するための、酵素には微量元素などの助けも必要です。

たんぱく質を体に取り入れる工程だけでも、とても複雑です。

という事で、結論。

たんぱく質を豊富に含む食品を、自分の手のひらほどの量で、毎食違う種類で、美味しく摂取すること。

特に高齢者は、若い人よりも多くのたんぱく質を取ることが推奨されています。
たんぱく質の形のまま食べても、消化吸収力が落ちていると、胃腸が受け付けれない方もいらっしゃいます。
その場合は、アミノ酸の形になっているサプリメントなどの方が向いているでしょう。

ところで、ある歯周病の進んでいる患者さんに、たんぱく質やアミノ酸を意識して取っていらっしゃいますか?と聞いたところ、
「黒酢」と答えが返ってきました。

確かに黒酢はアミノ酸が豊富だって宣伝してますよねー

ところで、黒酢サプリメントでどのくらいのアミノ酸が取れるんでしょう?

歯肉や骨に欠かせないコラーゲンを作る必須アミノ酸の1つ、リシン(リジン)を例に、考えてみましょう。

WHOによる必須アミノ酸の推奨摂取量(成人向け体重1kg/1日)というのがあります。

リシンの1日推奨摂取量は体重1kg辺り30mgです。 つまり、体重が50kgなら、1500mg必要です。
黒酢のサプリメントをあれこれネットで調べてみましたが、1日分の目安量(2粒とか)で取れるのが、だいたい20mg前後。
体重1Kg分の必要量も取れないわけで。

ちなみに、全卵1個のリシン含有量は450mgほど。
卵を一かけら食べたら、黒酢サプリメントと同じほどのリシンが取れるわけですよねー
逆に、全卵1個分のリシンを黒酢サプリメントで取ろうと思ったら、22日分ほど飲まなくてはいけません。

それって効率いいことになるのかな〜?費用対効果はどうなんでしょうか? 

サプリは効率化のためのものです。誰々がこんな風に良くなったと言ってるとか、飲んでる人がきれいだとか、飲み始めたら褒められたとか、とても魅力的な宣伝なんですが、自分に必要な栄養素の量と、そのサプリで本当に取れている量をしっかり分析把握して、賢くやりたいですね。

どの栄養素がどれだけの量入っていて、1日辺りに摂取できる栄養素の量がどれだけかも、しっかり表示していないサプリなんて、私には信用できません。「100g辺りどれだけの栄養素含有」しか表示してないのは、1日量を自分で計算しなくちゃいけないじゃないですか。不親切だわーと思います。

それから、○○エキス配合!とかしか書いてなくて、微々たる量しか入ってなくても書ける表示って怪しいなーと疑いの目で見ています。

日本のサプリメントにもアメリカのようにきちんとした、厳しい基準を導入してほしいものだと思います。

ちなみに、私はオリゴスキャンを定期的にして、副院長にサプリを処方してもらっています。

私が取っているプロテインです↓ 信頼できるものだと思います。




正しい知識に基づいて、健康管理していきたいですね。

免疫力アップ

  • 2017.08.29 Tuesday
  • 10:17
今年の夏はそこまで暑くなくて、ありがたかったですが、日照時間が短いのも夏らしくなくて、残念な気がします。

厚着ををしなくていい夏、私大好きなんです。あっという間に終わってしまうのは残念なんですが。
だからこそ、あれもやりたい、これもやりたいってワクワクします。

ここ最近は、休みの日で、晴れていれば、金華山登り、レゴランド、プールと子供たちと思いっきり遊んできました。

この夏で、うちの子達は真っ黒になりました。だいぶ体力ついたなぁと感心します。4歳の娘は、体は小さいですが、金華山も8割がた自分の足で上ったし、プールも最初から最後まで楽しんでいました。

1日外でたっぷり遊んでも、次の日は気持ちよく起きれるなと感じます。

それには、日光浴が関係しているのではないかなと思っています。

 
患者さんの中には、体力が落ちてくる、つまり免疫力が落ちてくると、痛み出す歯や、腫れてしまう歯ぐきをお持ちな方もいらっしゃいます。

免疫力が落ちないようにしてくださいね、とアドバイスさせていただくのですが、具体的にどうしたらいいでしょうか?

やはり、人の身体は睡眠・栄養・運動の基本的要素で成り立ってると思います。
それに付け足して私がアドバイスしていることは、日光に当たる事です。

免疫力アップや、がん予防、抗加齢で注目されているのは、ビタミンDです。食事やサプリメントからとることもできますが、日光に当たれば、自分の皮膚で、作ることができます。日光なら無料!




少し前の記事になりますが、こんなのがあります。出典元:日本経済新聞

国立環境研究所と東京家政大の研究チームは29日、1日に必要な量のビタミンDを体内で作るのに適した日光浴の時間を推定したと発表した。12月の晴天の正午では、那覇市で8分、茨城県つくば市で22分、札幌市では76分の間、日光を浴びる必要があるとの結果になった。

 紫外線がシミやしわなどの原因になるとして日光を避ける風潮もあるが「冬の北日本では食べ物からビタミンDを取るだけでなく、日光浴が推奨される」と研究グループは説明している。

 ビタミンDが不足すると骨の生育に異常が生じ、頭蓋骨がへこむ頭蓋ろうや、くる病、骨粗しょう症などが起きる。

 ビタミンDは魚やキノコなどの食物から取れるほか、紫外線を浴びると皮膚の中にできる。最近は、乳幼児や妊婦、若い女性、寝たきりの高齢者を中心にビタミンDの不足が指摘されている。

 研究グループは、成人が健康な生活を送るのに1日に必要なビタミンDの量を5.5マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムと想定。すべてのビタミンDを両手の甲や顔の日光浴だけで体内で作る場合の日照時間を試算した。

 紫外線が強い7月の晴天の正午では、札幌市が5分、つくば市が4分、那覇市は3分となり、各地で必要な日光浴の時間に差は少なかった



ここで、注目して頂きたいのは、「両手の甲と顔の日光浴」と書いてあるところ。おしゃれな方は、顔に何も塗らずに日光に当たるのは抵抗がある方も多いのではないでしょうか?

でも、ビタミンDを作る紫外線は、ガラスや日焼け止めで遮られてしまいます。日光の当たる面積が狭ければ、その分照射時間を増やさないといけません。

ちなみに、ビタミンDには2種類あって、動物性食品(魚肉、肝臓、鶏卵など)や、日光に当たった人の皮膚で作られるビタミンD3は、植物性食品(天日干しシイタケ、きのこ、海藻類など)に含まれるビタミンD2より2倍働きが強いとも言われています。

ちなみに、私は手の甲と足の甲は日焼け止めをほとんど塗ってません。ちょっと変な焼け方になるんですが。

冬は日照時間が短く、紫外線量も少ない上に、肌の露出度が減るので、ビタミンD合成はしにくいですね。

ビタミンD不足は、糖尿病、動脈硬化、免疫力低下、自閉症、うつ、花粉症に関連していると言われています。
寒くて日照時間が少ないところで、高血圧やうつ病がが多いのはこれが理由かもしれませんね。


高血圧の話が出たので、少し脱線。
世間では、高血圧対策に、塩分摂取量をコントロールするのが当たり前のように言われていますが、減塩しても血圧が下がるのは食塩感受性の人達だけだそうで、その数は成人の10〜30%とか、30〜40%程度と言われており、少なくとも半数以上の人々は減塩しても血圧低下の効果はないとのことです。ということは、誰でも彼でも減塩するように指導するのは意味なさそうですね。

やっぱり食事は、おいしい〜と思って食べるのが大事でしょうねー

健康には「ごきげんな気持ち」が大事。周りの人を笑顔にすることを考えて、ハッピーを共有しあいたいですね。


膝に落書きしてごきげんな息子です

ニューロマスキュラー治療と腰痛

  • 2015.11.18 Wednesday
  • 14:24
腰痛はなってしまうとなかなか治りにくい辛いものですし、腰痛をお持ちの方も少なくありません。

今回は2012年にニューロマスキュラー治療を開始し、2年程かけて被せ物も含め、全ての治療をさせていただいた方をご紹介させていただきます。

治療にお越しになったときの年齢は59歳。椎間板ヘルニア、第5腰椎分離症の手術をお受けになり、腰にボルトが入っているとのことでした。歩く時は常に杖をご使用になっていらっしゃいました。

顎がカクカクする事、歯が黄色いのが気になるとご来院になりました。

腰が痛むので、診療台に座る時のため、ご自分で足元や膝を固定するようにクッションをお持ちになったり、タオルで固定したりされていましたし、1時間以上はチェアにいられないとのことでした。

ニューロマスキュラー治療のため姿勢の写真をお撮りしました。明らかに腰が右に寄っています。
pos1

ニューロマスキュラー検査をしたところ、咬み合わせは理想的なポジションからずれていたので、理想的な咬み位置で咬めるように固定式のマウスピース(プロビジョナルと呼んでいます)を装着しました。

そのプロビジョナルを入れた夜中から激しく腰が痛くなって、あまりに痛いので次の日、整形外科で痛み止めの注射をされたそうです。咬み合わせ治療をやめようかとお考えになり、相談のお電話もいただきました。それでも、痛みのピークは2,3日で過ぎて、日を追うごとに軽くなりましたし、顎の症状は良くなっていたので、ご友人に励まされて、治療をお続けになりました。
プロビジョナルをつけてから1週間後にお越しいただいた時の姿勢の写真です。(使っていらした杖もトリミングせずに入れてあります。)
pos2

先回に比べて、腰がかなり真っすぐになりました!
腰の激痛は好転反応だったようです。


ホワイトニングで歯の黄色いのをきれいにしてから、お口の中にあった14本の銀歯をやりかえつつ、咬み合わせを理想的なポジションに保つように治療しました。前歯のガタガタが気になっていらしたので、矯正治療をご提案しましたが、咬み合わせの装置で大変な腰痛を経験されたので、矯正装置を入れることが不安だとおっしゃられました。それで、歯の神経を取らなくてはいけなくなるけれど、被せもので前歯をきれいに並べることを選択されました。
治療前後の写真です。上の前歯で被せたのは左1番と2番(真ん中とその隣)だけです。
B
A


治療が終了してから、ご家庭の事情で1年半近くご来院になれませんでしたが、久しぶりに定期検診にご来院いただきました。驚いたのは、歩き方が全然別人!杖もなしですたすたと歩いていらっしゃる!

「治療をしてから体が良くなって、杖なしでも歩けるの。ここの治療のおかげよ」とピカピカな笑顔でおっしゃって下さいました。

私も本当に嬉しかったです!ニューロマスキュラー治療の素晴らしさ、人間の体の不思議さを改めて実感しました。
1人でも多くの方の「苦痛からの解放」をお助けできるならば、医療人としてこれほど幸せなことはありません。

ニューロマスキュラー治療って何?その4

  • 2015.06.02 Tuesday
  • 17:13
今日はこのシリーズの咬み合わせ決定の方法を書きたいと思います。

筋肉をマイオモニター(低周波治療器)で十分にリラックスさせると、筋肉自体が今までと違う動きをし始めます。

筋電図で筋肉のリラックス具合を確認したら、マイオモニターで顎がどこで動いているのか、K7というコンピュータで見定めます。

マイオモニターで顎が動いている位置は、不随意運動と言って、意思とは関係なく、動こうと思っていないけれど、勝手に動く位置です。筋肉がリラックスできていたら、その位置は、筋肉が動きたい場所で動くようになります。この動きは横から見ると、基本的に上下に、今咬んでいる位置でカチカチ咬んだ時の動きと平行に表れてきます。

この勝手に動いているところを延長させた線をマイオトラジェクトリと言っています。

理想的な咬み位置はこのマイオトラジェクトリ上にあります。K7のモニタではこんな感じです。
BT

あとは高さをどこにするかを決めます。最終的には審美的に見える歯の長さというのを参考に決めたりもしますが、人によっては上の前歯が内側に傾きすぎていて、高さを高くしないと、マイオトラジェクトリ上にもってこれないこともありますし、作る装置の使用に耐えうる厚みというのもあるので、それぞれを考慮して、術者が判断し、患者さんとも相談しながら決定します。

マイオトラジェクトリ上になるように患者さんを誘導しながら口を閉じてきていただき、咬みあわせを採る材料を咬んでもらいます。
顎の位置は3次元的に動くということは前回書いた通りで、患者さんによっては、右より左が大きく開いていたり、前より後ろの方が大きく開いていたり、ピッチ、ヨウ、ロールの動きがあるのがわかります。

この咬み位置で特殊なマウスピースを作製します。他のオーソドックスな顎関節治療では、基本的に寝る時にのみマウスピースを使用しますが、ニューロマスキュラー治療で作製するマウスピースは食事も含め、常に使用して頂きます。

始めは違和感が強いですが、慣れると、以前の咬み合わせで咬むことの方が違和感を感じるようになってきます。

作製した装置で顎の状態がいいのか、患者さんご本人の症状、K7のデータを確認しながら治療を進めていきます。

新しい咬み位置が決まると、そこで咬むことができるように、さらに被せものをしたり、矯正をしたりされる方もいらっしゃいます。

ある患者さんのことを書きたいと思います。
60代の女性で、大学病院で教授に長年治療してもらっていました。いろいろ検査をして、咬み合わせ治療をし、たくさん被せものをしてもらったけれど、かえって顎が痛くなってしまって、眠るのもつらいという方でした。咬み合わせがおかしいと訴えても、取り合ってもらえず、精神科にかかるように言われました。分かってもらえないことへの大きな不安と歯医者への不信感を持って、別の歯医者さんへかからられました。そこの歯医者さんから当院への紹介状を持ってお越しになりました。
カウンセリングでニューロマスキュラー治療を選択されましたので、ニュロマスキュラーの検査をさせていただき、その結果に基づいて特殊なマウスピース(オーソシスとよんでいます)を作製しました。ちょうど昨日装置を使っていただいた1週間後のご来院でした。装置の違和感はあるとのことですが、「痛みがなくなって、本当にうれしい。ありがとうございます。」と深々と頭を下げて感謝してくださいました。

私がすごいわけではなく、患者さん自身の筋肉が咬み位置を教えてくれるのですが、このニューロマスキュラー治療の素晴らしさをまた改めて実感しましたし、そのお手伝いができるのは私にとっても本当に喜びで、この仕事をしていてよかったと思う時です。

ニューロマスキュラー治療って何?その3

  • 2015.05.25 Monday
  • 12:45
今日もかみ合わせ治療のニューロマスキュラーについての続きを書きます。

前回一番いい咬み合わせというのが、骨と筋肉にとって楽な位置だという事を書きましたが、その場所をニューロマスキュラーポジションと呼んでいます。一般的な咬み合わせ治療と大きく異なるのはこの点です。

色々な咬み合わせの治療方法がありますが、大半のやり方はマウスピースを作成します。そのマウスピースの咬み位置がどう決められているかで、治療の成果が変わってくるのです。

オーソドックスなマウスピースの作り方はこんな感じです。
ヾ擬圓気鵑両絏爾了型を取って、石膏模型にし、今咬んでいる位置で咬合器につけます。

咬合器というのはこの写真のようなもので、上下の石膏模型をくっつけておくのに使います。カスタネットのように上下に動くだけのシンプルなのから、個人個人の動きに合わせて動かせるようなかなり複雑なのまで色々あります。
咬合器

咬合器の前の方に棒が付いていますが、ねじを調整してこの棒を1mmだとか2mmだとか長くします
K世鮨ばすと上下の模型の間にスペースができます。そこにマウスピースを作ります。
そ侏莨紊ったマウスピースを患者さんの口に入れて、カチカチ咬んでもらい、全部の歯が均等に当たるように、あるいは当てたい歯だけ当たるように調整します。(調整にかなり時間がかかることがほとんどです)
ゼ_鵑陵莟〇に均等に当たっているのか確認して、当たっていなければまた調整をする、の繰り返しです。

私も大学の口腔外科に残っていた時はこの方法で顎関節治療をやっていました。

私が強調したい点は、このマウスピースの基本は今咬んでいる位置で作っているという事です。
でも、今咬んでいる位置が悪いから、痛みが出ているのに、高くしただけで、治りますか?
ラッキーな人は治ります。私の経験では10人中1〜2人くらいです。他の人はあまり変わらないか、ひどくはならない、という程度です。

これは歯科医師でも知らない人が多いのですが、下顎の動き方というのは、6つの方向があります。
6 movement

\橘未ら見た時の左右の動き
∩宛
上下
ぅ團奪繊焚から見た時に飛行機の尖端が上下する)
ゥ茱Α平疹紊ら見た時に尖端が左右に動く)
Ε蹇璽襦弊橘未ら見て片側の翼が上下する)

いらは飛行機に詳しい方はご存知でしょうが、航空用語です。どれもトルク(ねじれモーメント)がかかっていることを表しています。わかっていただけるように書いたつもりですが、図を見ていただいたら、さらに理解していただけると思います。

どんなに複雑な咬合器を使っても、この6種類の個人の動きを咬合器で再現するのは不可能ですし、それを術者が決めるというのも無理があると思います。

先程紹介したオーソドックスな治療の仕方は、「ねじれて顎が動く」という事を無視した治療方法ですので、なかなかすっきりしないのです。

被せものをして、何か咬み合わせに違和感があると歯医者に訴えても、ちゃんと全部の歯が当たっているので、そんなはずはないと言われてしまうか、他の病院へ行くように言われてしまうこともあります。その歯医者は全部の歯が当たるように筋肉がねじれて、無理をして動いてしまうということを知らないのです。仮に分かっていても、どうやってそのねじれを取ればいいのかわかりません。

それで、ニューロマスキュラー治療では複雑な咬合器に頼りません。なぜなら、咬合器ではなく、患者さんのリラックスした筋肉が、どこで咬むのが最適なのか教えてくれるからです。

リラックスした筋肉にするのに欠かせないのが、こちらの装置。マイオモニターという装置です。
正式名称は低周波経皮的電気神経刺激装置。
myo-monitor

この続きは次回にします。

ニューロマスキュラー治療って何?その2

  • 2015.05.20 Wednesday
  • 17:42
前回からの続きです。今日はまず使用している装置の写真を載せます。
顎の動きや筋電図の計測ができるK7という装置です。
K7

ニューロマスキュラー治療のコンセプトに欠かせないのが、「生理的安静位」

「生理的」とは「体の組織・機能に最適な」という意味です。平たく言うと、「骨(構造・形を作っている)と筋肉(骨を動かして機能させている)にとって一番良いところ」という事です。

「安静位」とは字の通り安静にしていて、咬んでいない時の位置です。リラックスポジションと言ってもいいでしょう。

ニューロマスキュラー治療を分かりやすく言うと「骨と筋肉にとって一番リラックスできる咬み位置は、どこなのかを見つけること」です。その咬み位置は「生理的安静位」からわかるのです。
さらに「審美的」というのも加えて治療しています。

carmen

綺麗になりましたよね。ニューロマスキュラー治療と並行して矯正治療と被せ物の治療をしています。


さて、顎関節症の分かりやすい症状は顎の痛みです。
痛みが出る頻度が一番高いのは筋肉です。
頬骨の下、側頭部の痛み(ここは頭痛とも言いますが)は咬み合わせに使っている筋肉がついているところです。
この部分を触りながら、ぎゅっぎゅと咬み締めてみてください。筋肉が動いているのがわかるはずです。
他にもエラ(下顎角)の後ろの部分、耳の後ろから首にかけて走っている筋肉などにも痛み(こり)が出やすい場所です。

その次くらいの頻度で起こるのが関節部の痛みです。
顎の関節は耳の前にあります。耳の前に手を当てて口を開いたり閉じたりすると、関節が動くのがわかります。
顎の骨が動くときに引っかかって開きにくくなり、痛みが出るパターンがほとんどです。
痛みがなくても、音がしたり、レントゲンで撮影してみると、骨がかなりすり減っていたりすることもあります。

痛みの原因は「痛いところが無理しているから」
顎の筋肉や骨は歯の咬み合わせによって動くポジションが決められてしまいます。
例えば、奥歯に高さの低い被せものが入った、あるいは奥歯が歯ぎしりなどですり減ったとします。
下顎は今までの位置よりもっと深く咬み込むか、顎を後ろに下げないと、歯が当たらなくなります。
歯が当たる位置に顎を動かすのは筋肉です。それが筋肉にとっては辛い位置でも、ご飯が食べられないのは困るので、無理するのです。この無理が許容範囲を越えると、痛みになります。

同様に、顎の関節にとっては、顎の位置が深く咬みこむ位置だったり、後ろに下がるのは窮屈な位置でも、筋肉がそこに関節を押し込むなら、従わざるを得ません。これも許容範囲を超えると痛みや音となって症状が出たり、口が開かなくなることもあります。

この考えを主従関係で表すと、

主:歯 → 筋肉 → 顎関節:従

となります。

顎関節症で口が開かなくなったからと、関節の手術をしたり、洗浄をしたりすることがありますが、この考え方からいうと、ナンセンスです。顎関節そのものが病気として変形したのではなく、筋肉や歯に従って動いた結果、変形が起きているので、原因をそのままにして、末端をいくら治療しても良くはならないのです。
逆に瘢痕化(傷跡が硬くなってしまうこと)を起こして、さらに開かなくなってしまうというのはよくあることです。


その3へ続く

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