日本スポーツ歯科医学会

  • 2019.06.26 Wednesday
  • 11:33
6月22、23日の2日間、鹿児島で開催されたスポーツ歯科医学会の総会・学術大会に出席していきました。

鹿児島、私の記憶にないので、初めて行ったんではないかと思うのですが、薩摩藩、西郷隆盛、大久保利通などの幕末から明治維新にかけての歴史の舞台になったところですし、雄大な櫻島があり、美味しいものを食べられるところがたくさんあり、さらに観光客にとても優しい交通機関がそろっていて、観光するにはとってもいいところでした。

時間がなかったので、鹿児島中央駅前に少し行って、宿泊した天文館周辺をちょっと散策した程度でしたので、またいつかリベンジしたいなと思っています。

スポーツ歯科の学会なだけあって、スポーツ界で有名な方のお話もお聴きすることができた学会でした。
元ヤクルトと中日のプロ野球選手の川崎憲次郎さんには、野村監督と星野監督、落合監督の名将の言葉を拝聴しました。
名将1
名将2

色々深く、重みのある言葉を紹介していただきました。何かを変える時は抵抗もありますし、とてもエネルギーのいることですが、失敗で、成功なんだ!と変化を恐れることなくやっていきたいと思いました。


「パラスポーツと車いす」というタイトルでお話をなさった千坂香菜さんという方のお話は、とても心を動かされました。
千坂さんは2009年に東京医科歯科大学の歯学部を卒業し、歯内療法の分野で博士号をお取りになり、結婚もなさったすぐ後に、突然両下肢に麻痺が生じて、車いす生活になってしまいました。脊髄の良性腫瘍が原因でした。そこで精神的にも大変辛いのを乗り越えて、上半身のみで体を動かすリハビリに励み、日常生活を問題なく送れるようになりました。ただ、歯科医師の仕事は、足でフットペダルを使うので、普通に仕事をすることはあきらめて、歯科材料のメーカーに勤務されるようになりました。2017年にはご長女をご出産もされています。何か運動をしたいと出会った車いすフェンシングで、2018年にはアジアパラ競技大会にも出場されて、今もナショナルチームで強化選手として、仕事、育児・家事、トレーニングと日々忙しくされている、という様子を伺いました。
どんな状況になっても、諦めない、やる時は常に全力、という千坂さんの姿勢に本当に感動しました。
個人的にもお話させていただくことができ、千坂さんと研究の分野でコラボできないだろうかと思案しているところです。


さらに今回は韓国の慶熙大学から5人の先生がお越しくださっていて、一緒に食事をして頂く機会がありました。お隣に座らせていただいた先生は補綴とインプラントの教授で、海外留学の経験も多く、外国人の治療も幅広く手掛けていらっしゃる先生で、たくさんお話を伺うことができて、とても勉強になりました。Facebookでもつながることができ、今後もまたお会いできるチャンスがあるかもしれないと思っています。

そして、最終日の最後に、私の発表がありました。ちょっと緊張もしましたが、聴衆の方から好意的な反応をいただき、終わってホッとしました。
presentation

今回も私が学会に準備して出席できるように、家族やスタッフに支えていただきました。
本当に感謝したいと思います。

睡眠時無呼吸症候群 その2

  • 2019.06.04 Tuesday
  • 12:53
先回は睡眠が阻害されると、いかに身体にとってダメージかということを書きました。

「ハリソン内科学」という、内科学で権威のある本には
『閉塞性睡眠時無呼吸症候群は最近50年で認識された最も重要な病態』
『世界中で死亡の重要な原因の1つ』
と書いてあります。

睡眠時無呼吸症候群が日本で注目されるようになったのは、2003年に新幹線の運転手の居眠りの事件からですが、その後も、バスの運転手などが睡眠時無呼吸症候群が原因で事故を起こすニュースがしばしば取り上げられています。
睡眠時無呼吸症候群の人は居眠り事故を起こす確率は6.3倍だそうです。

睡眠時無呼吸症候群は、学習、労働能力の低下、交通事故、産業事故の増加、生活の質(QOL)の低下、突然死や脳血管系のイベントを起こします。その経済的損失は3兆4億円と言われています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群が関わっている疾患は

・高血圧
・脳卒中(脳血管障害)
・狭心症
・冠動脈疾患
・心不全
・不整脈
・アデノイド・扁桃肥大
・糖尿病
・先端巨大症
・ED(性機能障害)
・尿失禁・夜尿症
・クッシング症候群
・胃食道逆流症
・肝機能障害
・うつ
・認知症
などです。

講習では出てきませんでしたが、私が調べた論文(Nieto, Peppard, Young, et al.: Sleep-disordered Breathing and Cancer Mortality)によると、がんにもなりやすそうです。
睡眠時無呼吸症候群でない人に比べて、軽症は約2倍、中等症は約3.5倍、重症は7倍がんになっていた、と書かれていました。
また、動物実験で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群で、がんが増えたり、脳の細胞が壊れていくことも確認されたようです。

臨床症状としては、発現頻度の高い順に
・いびき
・無呼吸の指摘
・日中の過剰傾眠
・夜間体動異常
・熟睡感の欠如
・全身倦怠感
・夜間頻尿
・夜間呼吸困難感
・起床時の頭痛
・夜間覚醒
・集中力低下
・不眠
などがあります。

日本の推定患者数は200〜1000万人と言われています。ちなみに、糖尿病は270〜700万人なので、かなり多いことがわかります。

では、どれほど深刻なのかというと、この表を見てください。
死亡率
ウィスコンシン州で30〜60歳の男女1522人のコホート研究


AHI(Apnea Hypopnea Index)というのは無呼吸低換気指数で、1時間当たりの無呼吸低換気数を表しています。
AHIが30以上が重症、15〜30が中等症、5〜15が軽症です。

AHIが5以下の睡眠時無呼吸症候群でない人は18年経った時の生存率が約95%だったのに対し、軽症は約90%、中等症は約85%、重症は約55%です。

逆に言えば、軽症の約10%、中等症の約15%、重症の約45%は20年以内に死亡するということです。
また、

死亡しないにしても、病気の発症で苦しむかもしれません。
fatal

これはスペインの研究です。重症な睡眠時無呼吸症候群の15%以上が心血管系の病気(心筋梗塞、脳卒中など)で死亡(fatal)し、30%は死亡までいかないものの心血管系の病気になって病院にかかる必要が出たことがわかります。
つまり、45%以上の人は心血管系のイベントが起きたという事です。

睡眠時無呼吸症候群、怖いですね!!

この続きはまた。

睡眠時無呼吸症候群 その1

  • 2019.06.03 Monday
  • 16:59
6月2日の日曜日に東京で開催されたソムノデントという睡眠時無呼吸症候群に用いる口腔内装置の講習会に参加し、作成できる施設として認定証をもらってきました。

去年のラスベガスでのニューロマスキュラー関連の学会に出席した時に、睡眠がいかに大切かという事を学び、私達歯科医師が患者さんのためにできることが、その方の命に関わることがあるという事を改めて知り、睡眠についてもっと知りたいと思い、日本睡眠歯科学会に入会しました。

睡眠歯科学会のセミナーや昨日の講習会などで学んだことは、とても有益な情報ですが、盛り沢山なので、小分けして書きたいと思います。

まず、睡眠はなぜ大切なんでしょうか?

睡眠は、心と身体の休息になり、日中の活動による疲労を回復します。
具体的に、体温調節、ホルモン分泌、記憶や感情の整理整頓、自律神経調整、免疫機能、酸化ストレスの除去、β-アミロイド蛋白(アルツハイマーの原因物質)の蓄積防止などの役割があります。

睡眠に、レム睡眠とノンレム睡眠があるという事を聞いたことがおありかと思います。
REMレムとはRapid eye movement急速眼球運動のことで、身体が寝ていて、脳が起きているので、眼球が左右に素早く動いています。夢を見ている時で、眠りは浅いものです。この時には体は深く眠っていて、身体が動かない状態なので、誤って、目が覚めてしまうと、金縛りにあっている状態になってしまいます。

逆にノンレム睡眠は脳の深い眠りで、1〜4の深度があります。眠り始めてから、徐々に深い眠りになっていき、また徐々に浅い眠りになって、レム睡眠になっていくことを繰り返しますが、起床時間が近づくにれ、ノンレム睡眠の深度は浅くなっていきます。

年を取ると、睡眠深度が4までいかず、3が1度だけ出るだけで終わってしまうようになったりします。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、このような睡眠の正しい波を作ることができません。なぜなら、眠ってしまうと息が止まってしまうので、窒息してはいけない!と脳が目を覚まさせて息をさせるからです。

深い眠りが得られないので、睡眠中に体がやってくれるはずのことができてません。

つまり、体温調節できず、ホルモン分泌できず、記憶や感情の整理整頓できず、自律神経調整できず、免疫機能調整できず、酸化ストレスの除去できず、β-アミロイド蛋白(アルツハイマーの原因物質)の蓄積しっぱなし。

こうなると、どんな病気になりそうでしょうか?

睡眠時無呼吸症候群の方は、そうじゃない方に比べると、この図のようにリスクが高まります
risk

寿命でない突然死は睡眠時無呼吸症候群が根底に隠れていると言われています。

この続きはまた

海外出張

  • 2019.03.12 Tuesday
  • 16:23
3月4日から1週間お休みをいただいて、アメリカのラスベガスでクレイトン・チャン先生の講習会を4日間受けてきました。

チャン先生はニューロマスキュラー治療の世界的な権威として、世界のあちらこちらで講演をされている先生です。
私のニューロマスキュラー治療の更なる前進のために、この講習会に参加してきました。

学ぶことが大変多く、とても有意義な4日間でした。この機会は、さらに私の自信と経験になりました。
今回は日本から参加したのは、私1人でしたので、開拓者的な気分で、その勇気を褒めていただきました。

今回の講習では、さらに物事の本質を見極め、より包括的に治療を進めていけるように訓練されました。これからもこの顎関節治療で、先進的な存在となれるように、常にアップデートをはかっていきたいですし、独りよがりにならないように、見聞を広めるのを忘れないようにしたいと思います。何よりも患者さんにスムーズに早く良くなっていただきたい!と強く思います。

家にいなかったことで、家族には多大な自己犠牲を払ってもらいましたし、スタッフにも大いに助けられましたし、私が担当させていただいている患者さんにも、お休みをいただいたことで、ご迷惑をおかけしたこともありました。帰ってきて、皆さんに歓迎していただき、(特に子供たちからは熱烈な歓迎を受けました)改めて、私って何て幸せ者なんだろうと思いました。

講習会は3月5日から8日まで朝の8時半から6時くらいまで受けて、ディスカッションや実技を交えながら、楽しく学んできました。

せっかくのラスベガスだから何かショーを見たいと思っていたら、最後の金曜日の晩に、ラッキーなことにセリーヌ・ディオンのショーを見ることができました。ゴージャスで、とっても感動的なショーで、魂が洗われるような気持ちになりました。

ラスベガスと言うと、皆さんに聞かれるんですが、、賭け事は一切していません(笑)。単身ラスベガスに乗り込んで、全てが英語の環境に浸かり、アドレナリンはもう十分出ましたので、そういうエキサイトの必要は全く感じませんね。

9日土曜日の朝に飛行機に乗り、3つの飛行機を乗り継ぎ、家に着いたのは19日日曜日の夜でした。その晩はたっぷり寝て、月曜日の朝から特に時差ボケもなく、元気に働けています。我ながら、タフだなと思うのと同時に、この出張に合わせて、副院長がたっぷりサプリを処方してくれていたので、そのおかげもあると強く感じます。

皆さんのサポートに心から感謝します。
また助けていただいて、来年も行かせてもらえたらなと思っています。

OC 10th Anniversary Summit

  • 2018.10.30 Tuesday
  • 09:50
Occulusion Connections(OC)というアメリカのラスベガスで開業されているチャン先生のもとで、ニューロマスキュラー治療(咬み合わせ治療)に関して、系統的にプログラムされているアドバンスコースを受けて、さらに掘り下げながら勉強しているグループがあります。

Occulusionとは、咬み合わせという意味で、Connectionには関係、結びつき、という意味がありますから、日本語にすると咬合関係となるんでしょうが、咬合と全身の関係、歯科医療チームとしての結びつきといういくつかの意味も含んでいるようです。

チャン先生がこのOCを立ち上げてからちょうど10年がたったので、それを記念する集まりがラスベガスでありました。
ぜひおいでよと声をかけていただいたので、思い切って行かせていただきました。

「思い切って」というのは、子供を産んでから、海外への単身出張は今回が初めてだったからです。3年生の息子と、年中の娘は、だいぶ自分で自分のことができるようになったのもあって、家族とスタッフの協力の元、行かせてもらいました。

この集まりに参加されている先生たちは、本当に家族のように温かくて、お互いへの気遣いや、盛り上げようとする雰囲気、学ぼうとする情熱が素晴らしくて、とっても素敵な雰囲気の中で、楽しく学んでくることができました。

こういうような集まりって、発表する側のとってもうまく行った症例だけを選んだ、症例の「展示会」になりやすいものですが、歯科医療人としてだけでなく、人生のモチベーションを上げるような話からスタートし、いかに歯科医師として、他の人の人生を良い方向に変えられるのか、その素晴らしさを語り合ったり、ジョークやユーモアを交えて、大笑いしながらと、すごく楽しい集まりでした。

会場は、ゴルフ場だったので、話を聞いている横で、他のお客さんが素晴らしいお天気と景色の中、ゴルフを楽しんでいて、こちらまで伸びやかな気持ちになる風景でした。
Best Bears

今回の集まりには、アメリカの様々な州からお越しの先生はもちろんのこと、カナダ、ロシア、ドイツ、シンガポールそして、日本からも先生たちが集まっていました。講演者はメディア出演をされたり、世界を股にかけて講演されているような方々で、大変啓発的でした。このOCの先生たちにまたお会いできるのがとっても楽しみですし、私もそのような場でプレゼンするような歯科医師になれるように、もっと研鑽をつんでいきたいと強く思いました。

C
certificate

今回はゆっくり観光の時間を取ることができなかったのですが、学会の前日の午後3時くらいに空港に着いたので、少し市内をぶらついて、綺麗なお姉さんと写真を撮ってもったり、(チップ必要でしたけど)
+g
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ベラッジオの有名な噴水のショーを見たり、世界的に有名な3つ星レストランのシェフのゴードンラムゼイのハンバーガーを食べたりはしてきました。学会が終わった夜に、シルクドソレイユの’O'というショーを見たり、ちょっとはラスベガスを楽しんでこれました。

私の乗った飛行機は、セントレアから成田、成田からサンフランシスコ、サンフランシスコからラスベガスと3つ乗り換えが必要でした。上空から、日本を見ると緑が多いと感じるんですが、アメリカはとても乾燥してそうな茶色で、だいぶ違うものなんだなと、水と緑の豊かな住まいにありがたく感じました。

帰りの飛行機で隣に座った方とお話する機会があったのですが、その方はカリフォルニアで電力会社にお勤めで、電気メーターの修理をする仕事をしているとおっしゃっていました。日本では、そんなにメーターの修理が必要だとは聞かないけれどと言うと、カリフォルニアは水不足だから、水を求めて、地中深く掘削していく人が多くて、電気メーターが溶けちゃうほど、電気を使うんだそうです。乾燥してるから、火事も多いんだとおっしゃってました。

アメリカは個人主義で何でも人と違うものなのかなと思いきや、ほぼ同じ見た目の家がずらーっと並んでいて、タクシーの運転手の方に、住んでいる地区の厳しいコミュニティーの規則(家の外観についてや、芝の長さはどれほどに保たないといけないだとか)があるんだと聞いたり、文化や土地柄の違いについても触れることができて、大変興味深かったですし、自分の環境についてあらためて感謝できると思いました。

最後に名前に関する話を一つ。
私のアンナという名前は、両親が外国でも通じやすいようにとつけてくれたものです。どこに行っても、すぐに覚えてもらえるので、とってもありがたく思っています。(カネミツは難しくて、まともに言える外国の方はほとんどいませんけど)
先程の飛行機でお隣になった方の奥さんは「まみ」さんという名前の日本の方で、小さなお子さんがいらっしゃるそうですが、お子さんが幼稚園や学校に上がったら、こんな会話になるのが目に浮かぶとおっしゃってました。

”What is your mommy's name?" 「マミーの名前は?」
”Mami"「マミー」
”No, I'm asking your mommy's NAME”「違う、違う、マミーの名前を聞いているの」
”Mami"「マミー」

これを読んで、どなたも気を悪くなさらないでくださいね。。。

日本バイオメカニクス学会

  • 2018.09.07 Friday
  • 16:57
昨日は日本体育大学のキャンパスで開催されたバイオメカニクス学会に出席してきました。


バイオメカニクスってちょっと聞きなれない言葉かもしれません。
簡単に言うと、人間の身体運動に関する科学的研究を行う学会です。

生体力学研究に携わる、生化学、生物学、生理学、理学、医学、工学などの異分野の研究者たちが学部を超えて交流できる場です。例えば、医学的な検証も、それを計測して、データ化するためには、工学的なサポートが必要です。
その科学的検証を、スポーツの分野や、介護の分野などに生かしていくことで、社会貢献することができるはずです。

昨日は、一流アスリートの動きを科学的に検証して、必要なトレーニングを編み出していく方法をおしえていただくことができました。平昌オリンピックスピードスケート金メダリストの小平奈緒選手とそのコーチの結城先生、それを工学的に解析するサポートをされた二上さんのシンポジウムを聞くことができたのが大変興味深かったです。


他にも、発表者がたくさんいらして、活発な意見交換がされていました。

また、アメリカのロサンゼルスでオリンピック選手養成に携わっておられる方の講演も聞くことができ、歯科的サポートについても質問させていただき、充実していました。

今回の学会は、正直初めて聞くことが多くて、私の研究に関わってきそうなことだけを選んで聞くだけで、精一杯でした。それでも、研究に使えそうな、小型化されたモーションピクチャーの装置を見つけることもできて、業者さんに説明に来ていただく日程を調整し、確実に収穫もありました。

知らなかった世界が開けて、連れていってくださった教授をはじめ、諸先輩方への尊敬の念もまた深まった一日でした。

今回の出張でも、家族が子供の世話を含めて協力してくれるので、行ってこれましたし、副院長には、出張が続いて、疲れ気味になりそうなので、特別な滋養強壮のサプリも処方してもらって、お陰様で、元気に過ごせています。
スタッフも日頃の診療で良くサポートしてくれていて、周りの方全てに、本当に感謝感謝です。

日本包括歯科臨床学会

  • 2018.09.03 Monday
  • 12:53
昨日は東京で開催された日本包括歯科臨床学会の総会に出席してきました。


この学会は九州の筒井先生を中心に発足された包括歯科臨床の実践をテーマにしたものです。
以前に私が筒井先生の講習会「筒井塾咬合セミナー」に出席した時のブログはこちらこちら

「包括」という言葉からわかるように、咬合治療はもちろんのこと、インプラント、歯周病、補綴、保存、矯正など、幅広くトータル的に、オーダーメイドの、患者さんの必要を満たす治療をしていくことを研鑽されている学会です。勉強になることがたくさんありました。

色々な講演の中で、強く共感したのは、筒井照子先生が、

「歯科界では、顎機能障害に咬合が関係しているか、いないかが、未だに決着がついていない。多くの証拠があるにもかかわらず、頑なに咬合の関係を認めようとしない先生がいる。どうしてなんだろうと考えて、わかったことは、その先生たちが、自分で治せないからなんだと気がついた。顎機能障害の治療は、患者さんと正面から向かい合って、心身共に癒さなければ、治っていかない」

というお話をされていたことです。本当にその通り!!
自分でやってみたけど、ダメだったから、咬合治療では治るはずがない、咬合は無関係だと言い切ってしまうのは、ナンセンスです。

咬合治療って、登山と同じなんだと思います。どの山でもいいんですが、例えば、富士山にしましょう。
その頂上にたどり着くのにも、色々な道があると思います。ものすごく複雑で苦しい道もあれば、シンプルでスムーズに登ることができる道もあるでしょう。
まともなガイドも装備もないまま登山に挑戦して、自分が遭難してしまったから、富士山は登山不可能だ!と言い切る人がいたら、恥ずかしい人だなーもっと先人の知恵を聞くようにしようよ、、、って言いたくなりますよね。

ましてや、富士山に登っているという人に、お前はインチキだ!社会正義として罰してやろう!と悪い噂をばらまく人がいたら、嘆かわしすぎますね。(ご存知のように桜桃歯科の院長と裁判をしています)

幸いなことに、私は咬合治療という山を登るに当たって、シンプルでスムーズな道を先人から教えてもらい、そのための装具も揃っています。その登山をサポートしてくれる、優秀な人材もいます。本当にありがたいことです。

筒井先生のグループの登山の仕方は、ニューロマスキュラーとは違います。講演されていた他の先生で、下顎位を見つけるのは苦手だとおっしゃってる方がいらっしゃいました。顎位の見つけ方が、スプリントあるいはプロビジョナルという口腔内装置を使用しながら、その変化を長期間にわたって観察していくというやり方で、「試行錯誤」と言うべきものだからです。しかも、そのスプリントも7〜8種類あるので、その患者さんにあった、正しいものを選択しなくてはいけません。場合によっては、もうちょっと右なんじゃないかな?・・・などと、術者の経験と勘で顎の位置を誘導したりもします。

一方、ニューロマスキュラーでは、正しい顎位は1、2回の2時間弱の検査で見つけられることがほとんどです。装置も取り外し式か歯にくっつけるかの2種類はありますが、形は基本的に同じものです。

筒井先生のご講演でも、この顎位でいいだろうと思って、奥歯に最終的な被せものをしても、また顎がさらにリラックスする位置に自然と変わって、前歯だけ当たって、奥歯が空いてしまうようになるので、奥歯にプラスチックを何度も添加していかなくてはいけない症例が多数あるという事をおっしゃっていました。

私はニューロマスキュラーでそうなる人を見たことがありません。
第一、客観的に顎位の検査ができるので、これで被せ物をしていっていいんだろうか、と不安になるのがなくなりますし、どこに顎位を持って行くか、私が考える必要もありません。患者さんの顎が正しい位置を教えてくれているのをコンピュータを使って、読み取ればいいのですから。

ME機器を使って、顎関節のすり減り方を観察したり、咀嚼運動を観察したりして、正しい顎位を「想像する」というやり方は当たる時もあるかもしれないですが、外れることもあるようで、また登山に例えると、頂上だと思っていたところが、頂上じゃなかったと結論が出るような話です。

そうなると、被せ物のやり直しをしなくてはいけなくなって、その費用は誰が負担するのだという問題も出てくるとお話されていました。これは術者側にも、患者さん側にもストレスですね。

そういう種類のストレスのない自分が、とても恵まれているということを改めて認識できました。

今週は木曜日も東京である日本バイオメカニクス学会大会に出席する予定です。
スポーツ歯科との関連で、日本体育大学の先生のご講演を聞いてきます。
これが私のやりたい研究へ繋がっていくだろうと楽しみにしています。

第15回国際顎頭蓋機能学会日本部会

  • 2017.11.27 Monday
  • 12:03
昨日は福岡で開催された「第15回国際顎頭蓋機能学会日本部会 〜日常臨床における筋肉位の探求〜」に出席し、矯正分野での口演もさせていただきました。

発表
シンポジウム

よくわからないかもしれませんが、右から2番目が私です。。矯正分野での発表者が一堂に会して、質疑応答をしています。

この国際顎頭蓋機能学会というのは、ニューロマスキュラーのコンセプトで診療をしている歯科関係者の学会です。

ニューロマスキュラーとは、簡単に言えば、顎の筋肉が、一番最適な動きができるような、顎の位置で咬み合わせを作ることをコンセプトにしているやり方です。それには、TENSといって、低周波の電気刺激を咀嚼筋群に与える装置と、K7という下顎運動や筋電図を計測できる機械を使うのが基本です。

日帰りだったので、時間に追われてばかりで、あまりゆっくりできなかったですが、志を同じくしている先生方の発表を拝見したり、近況を報告し合うのは、楽しく、刺激になりましたし、さらに自分の診療の精度をあげていきたいと思いを新たにすることができました。

私の口演では、ニューロマスキュラー治療をしなくてはいけないような症状が出てしまう、根本原因にアプローチすることの重要性を強調してお話ししました。

以下が抜粋です。用語が専門家向けなので、ところどころ解説を入れますが、分かりにくかったらごめんなさい。。。


根本原因として考えられるのは、まず、悪習癖(態癖)です。これにはTCH(Tooth Contact Habit、上下の歯がいつも接触している状態)があり、噛みしめてしまう背景には心因的なものもあると思います。

また、口呼吸、口唇や頬を巻き込む癖、正しくない舌癖、逆嚥下、うつぶせ寝、頬杖などもあります。

さらに、咬合高径が低くなる(本来あるべき咬み合わせより、顎を余計に閉じなくてはいけない状態。究極の例が歯が1本もない状態)要素としては、歯冠崩壊、著しい咬耗、欠損歯、高度歯周病などがあります。
これらの背景には、清掃不良と栄養不足があると考えられます。

他に、不良補綴物(ふさわしくない被せ物など)などの医原性のものがあると思います。他院でインプラント治療をしてから顎の調子が悪いとお越しになる方のインプラント補綴は、かなり低く作ってあることが多々あります。閉口筋群の過度な収縮が生じて、それが続くことにより、開口障害になってしまった症例も見受けます。

態癖がニューロマスキュラーポジションからの逸脱になる流れとしては、

例えば、口呼吸により、頬筋の過緊張が生じて、上顎のアーチが狭窄します、そうすると、下顎は後退した位置に押し込められてしまいます。

あるいは、低位舌(舌が上顎についていない状態)により、いつも上下の臼歯部間(奥歯の間)に舌が介在することで、臼歯部の圧下(奥歯の沈み込み)が生じると、垂直的顎間距離の減少から過蓋咬合(深い咬み合わせ)につながります。

小児期から、これらの原因を取り除くことで、綺麗な歯並びを作り、よりかっこいい、可愛いお顔へ成長し、気道の改善もされるので、しいては肉体的にも、精神的にも健康増進につながると思われます。

無意識下の態癖の除去には筋機能矯正装置(当院ではマイオブレイスという装置がそれに当たります)が有用です。

myobrace-cross


発表してきた症例のひとつです。
左上の前歯と左下の前歯(画面では右です)が受け口になってしまっているお子さんでした。上下の歯の真ん中がかなりずれていましたが、マイオブレイスを6か月使用してもらうことで、受け口の咬み合わせが治り、上下の歯の真ん中もだいぶ近くなりました。



正しい舌のポジションがどこなのかということだけでも、知らない方はたくさんいらっしゃいます。
この知識が広く浸透してくれたらと思いながら、日々診療しています。

ニューロマスキュラーの講習会

  • 2017.09.27 Wednesday
  • 18:02
9月23、24日は、東京であった、アメリカのラスベガスから来日してくださった、チャン先生の講習会「最新の生理学的咬合を理解する〜経験による咬合から根拠に基づいた咬合へ〜」に出席してきました。

10年前、歯科大を卒業してすぐに院長とチャン先生の講習を受けて、あっという間に月日が経ちました。
来日するたびに、たくさんの刺激をくださいます。
今回は懇親会で、隣に座らせていただき、チャン先生の生い立ち、奥様とのなれそめ、ニューロマスキュラーとの出会いと発展にいたるまでを色々詳しく教えてくださって、とっても楽しい時間を過ごせました。先生の真面目で、楽しく、真摯な人柄に触れることができて、大いに笑い、考えさせられました。

また、同じく、日本でニューロマスキュラー治療をする他の歯科医師の先生方ともお互いに刺激しあえる、大変、有意義な講習会でした。

29.9.24

アメリカでのニューロマスキュラーの歴史は45年ほど。
ニューロマスキュラー治療するのに欠かせない、低周波治療器のマイオモニタ−と下顎運動測定器(現在はK7)をバーナード・ジャンケルソン先生がマイオトロニクス社と開発したのが起こりです。
日本の先進的な歯科医の先生方が、28年ほど前にバーナード先生の息子のロバート先生を日本で講演して頂けるようにお招きして、日本でもニューロマスキュラーコンセプトが知られるようになりました。

真実な理論と、確かな効果があっても、新しい考えというのは、すぐに受け入れてもらえるものではありません。

例えば、オールオン4というインプラントのやり方。
全く歯のない人に、骨の残りやすい前歯部の骨に斜めにインプラントを4本埋入して、全顎補綴するもので、総入れ歯しかなかったことに比べると、快適な、画期的な治療です。今は世界中でこの治療がなされていますし、もちろん当院でも患者さんに大変喜んでいただいています。また、以前は一社のみだったのが、多くのインプラントメーカーがこのやり方に対応できる種類のインプラントを販売しています。

それでも、このやり方を開発したポルトガルのポール・マロ先生は、始め、インプラントを斜めに入れるなんて、非倫理的な治療をしている!と、非難されて、なんと、歯科医師免許をはく奪されたのです。マロ先生は仕方なく、国外で治療を続け、成果をあげて、国内でも認められるようになり、戻ってくることができました。

激しいですよねぇー

医学の進歩というのは、そんなものです。今の常識は、以前の非常識です。逆に以前の常識が、今の非常識だったりすることはいくらでもあります。

時々、ニューロマスキュラーがそんなにいい治療なら、歯科医師のみんながやってるはずだと言われることがあります。
すぐに浸透しないのには、以前の考えから頭を切り替えるのが大変だということもあるかもしれませんが、ニューロマスキュラー治療の良さはわかっても、治療に必要な機器が大変高くて(高級車の値段です)導入できないというのが7割くらいの理由のようです。
私のように卒後すぐに、この高額で、噛み合わせ治療を客観的にビジュアル化できる唯一の機械を扱わさせてもらえる歯科医師なんてそうそういません。本当に恵まれていて、感謝感謝です。


アメリカでニューロマスキュラーコンセプトが受け入れらる過程でもいわゆる、政治的な、妬みも絡んだ話がたくさんあります。今では、ニューロマスキュラー治療に欠かせないマイオモニタとK7はアメリカ歯科医師会とFDA(アメリカ食品医薬局)にも顎関節治療に効果があるとお墨付きをもらっています。それで、患者さんにも、ニューロマスキュラー治療と言うのは良いものだと広く知られるようになってきているのですが、今度は、ジャンケルソン先生のやり方から離れているのにもかかわらず、ニューロマスキュラーの名前を使って治療する「なんちゃってニューロマスキュラー」な歯科医も出てきているようです。


アメリカでニューロマスキュラーが広く知られるようになったひとつに、ニューロマスキュラー治療で作ったマウスピース(アギリティーガードという商標でチャン先生のグループが作成しています)を一流のスポーツ選手(オリンピック選手など)が装着して、成果をあげていることです。論文などでは、このマウスピースは筋力や瞬発力を1割アップさせると言われています。

マウスガードにはパフォーマンスの改善には効果がないとか、非装着と比較して有意差がないという論文も見受けられますが、いつも咬んでいる位置から模型上で数ミリ高くしただけの「最適でない」マウスガードなら、かえって力が出なくなっても不思議ではありません。


ニューロマスキュラーのマウスガードと普通のマウスガードとの違いは、顎の位置です。

下顎と言うのは、頭蓋骨に、靭帯と筋肉でぶら下がっているものなので、6次元的に動きます。まず、上下、前後、左右、さらに、飛行機の用語になるのですが、ピッチ(飛行機の尖端が下か上に向かう状態)、ヨウ(飛行機の尖端が左右に振る状態)ロール(飛行機の羽が左右に傾く状態)です。


個人個人に筋肉、神経的に一番安定した、生理的な下顎の位置というのが存在します。それをコンピューターで下顎の運動をモニタリングしながら、低周波治療器を使って三叉神経と顔面神経に刺激を与えて、咀嚼筋群に不随意の等長性の運動を起こさせて、その個々の「最適な」下顎の位置を見つけ、その位置でマウスピースを作ると言うのが、ニューロマスキュラーコンセプトです。

1つ選手の声を紹介します。
Dotsie Bauschという2102年ロンドンオリンピック自転車チームパシュートの銀メダリストがアギリティーガードを使っている感想を2012年のオリンピック前にこう言っています↓(原文はこちら

AgilityGuardは私の秘密兵器です。これまで口や顎の問題は何もなかったので、AGがパフォーマンスを向上させるか疑わしく思っていました。コーチは必要だと確信していたので、コーチを信じることにしました。今6週間AGを定期的に装着して、(ウェイトトレーニングとインターバルセッションのバイクの両方で)その結果に魅了されています。まず、一つ目に、バランスと重心の感覚がはるかに改善されていることに気付きました。これはもともと苦労していたことではありませんでしたが、今は自転車やペダルに自分が"植え付けられた"ように感じ、自分の腰の重さが1000ポンド(約450Kg)もあって、何ものも自分を中心からずらすことができないかのように感じます。それくらい安定しています。二つ目に、自分のトレーニングについて、以前とは違う冷静さを感じます。AGが口の中にあると、スムーズでコントロールされ、落ち着いた自信を持っています。精神を集中させることができ、行き詰まったり、パニックになったりしません。 AGの装着前は、最後の数回のリフト、または最後のインターバルに入るとき、ストレスと不安を感じ、セットを最後までやりきれないかもしれない、もしかしたら、少しもできないかもしれないと心配になりました。今ではAGがあるので、1日のトレーニングを終えた後でも、いつもでも、もう一つ余分にインターバルやセットができるような気がします。これはすごい。私はAGの大ファンで、AGなしでパフォーマンスはしません。オリンピックに持って行って、他の多くのスポーツ選手に勧めるのが待ち遠しいです。ありがとうAG!


日本でも、ニューロマスキュラーが広く浸透してくれる日が待ち遠しいですし、私が何か果たせる役割がないだろうかと、スポーツ界の方々とコンタクトをとっている最中です。きっと、いいお知らせができる日が来ると信じています!

WIOC

  • 2017.07.05 Wednesday
  • 13:06
昨日まで神戸で開催されていた、World Implant Orthodontic Conference(歯科矯正用アンカースクリューの世界会議)に出席してきました。


矯正用アンカースクリューというのは、歯の矯正の時に、骨に埋め込んで、絶対的な固定源となる、チタン製のネジやプレートのことです。歯を動かすには、理想的な方向へ、歯を引っ張る力が必要になりますが、動かないアンカースクリューがあると、思ったところへ歯を動かしやすくなります。

世界と名がつくだけあって、世界の各地からの出席者が多く、とっても国際色豊かな学会でした。発表もほぼ全て、英語でされていて、最先端の技術を持つ、世界中の超有名な矯正歯科医が参加してらして、非常にレベルが高く、刺激がいっぱいの、楽しい学会でした。私がプレートインプラントについて教えていただいた、この学会の会長で、世界的に有名な菅原先生の講演も聴くことができて、改めて、先生の素晴らしさを再認識しましたし、私が仙台へお邪魔した時には未発表だったベルギーの先生の新しい治療を取り入れて、発表されていたので、止まることを知らない先生はやっぱり尊敬できるなと思いました。

会場がいくつかあって、同時に講演がなされるので、聞きたいものを天秤にかけて、あちらこちら移動しながらだったので、忙しかったです。

わかりやすいパワーポイントが作ってあったり、こちらからの質問に対して丁寧に答えてくださる著名な先生が多く、とても爽やかな学会でした。

新しい技術について知ることができたので、また診療の幅を広げることができると思います。

またこういう学会に出て、いろいろ勉強してこれるのが楽しみです


おまけの話なのですが、昨日、5時ごろに学会が終わって、新幹線で名古屋まではスムーズに帰ってくることができたのですが、大雨の影響で、名古屋から岐阜までの在来線の電車が止まってしまい、名古屋で3時間ほど足止めされて、なかなか自宅までたどり着けませんでした。。。子供たちが寝る前に自宅に帰ってくる予定だったのに、電話で話をしただけになってしまいました。ようやっと電車に乗れても、満員で、スタッフにお土産に買ったお菓子の箱もつぶれてしまうようなぎゅうぎゅう状態。ばつ
貴重な体験ができました。
診療のお休みをいただいたり、スタック状態の時に経験者としてラインでアドバイスをくれたMさん、ママのいない家で子供の面倒を見てくれた主人、支えてくださった方々に感謝します。

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